MANULのブログ

総合格闘技の生涯スポーツ化を考えるブログ

MMAはケガをするのか

MMAをやってみたいと考えて、不安材料の筆頭格にくるのはケガではないでしょうか。なにせ格闘技。投げるしかない柔道だって骨折したりするでしょう。殴ったり蹴ったりする空手ならなおのこと。寸止めの伝統派空手でさえケガをするときはします。筆者は幼少期、一年たたずに辞めましたが伝統派空手を習っていましたが、寸止めなんて嘘です。あれはふつうに当たっています。柔術はケガが少ない、安全などといいますが、関節を曲げてはいけない方向に曲げて、首を絞めたりしているわけですから、勢いあまればケガはします。その全部をやるMMA。とうぜんケガをするときはします。
ケガの大半はスパーリングで起こるものだとおもいます。とはいえクラス練習でも、打ちこみ相手が未熟だったり、あるいは自分が未熟でケガをする可能性もゼロではありません。なんでもない動きで自爆して足を捻挫するなんてこともあるあるでしょう。

スパーリングでケガをしないために

スパーリングでケガをしないためには示しあわせることが重要です。軽くお願いします。最初にいいましょう。言っといて、自分は当てたいからと振りが強くなったり、全力で投げようとしたり、アクロバティックな動きでパスをしようとしたりして、ヒザが相手の顔にあたったりはあります。アクロバティックな動きなんてしなくても、ヒザが顔とかに入るのはよくあることです。軽くしようといったからには、自分自身が軽くやりたいことを態度で示しましょう。自分は本域でやりたいけど、相手には軽くやってほしいなんてうまい話はありません。相手が講師であればいいかもしれませんが、会員同士は対等な立場です。レベル差があるのだから、弱い自分はいい思いをさせてもらって当然などという考えは甘いです。中には優しくてつきあってくれる人もいるかもしれませんが、相手だってうまくなりたくて練習しているのですから、寸止めで当てる練習をしたりするでしょう。相手は寸止めするつもりでも、あなたが突っこんできたら当たります。相手はあなたとおなじ会員です。あなたがどんな行動に出ても寸止めできる達人ではありません。
だからといって必要以上に縮こまってなにもしなかったら練習にはなりません。あなたも攻撃は寸止めしましょう。そしてしっかりと防御する意識を持ちましょう。攻撃を学ぶことは重要ですが、防御を学ぶことはさらに重要です。ケガをしないためにも。
世の中には手かげんができない人が存在します。悪意なく、緊張して本人はその気がなくても、腕を振りまわしてしまうひとがいます。そういう人が相手であればなおのこと防御を練習する機会にしてみましょう。しかしながらお互いに未熟だと、防御しきれないで痛いダメージを負うこともあるでしょう。言えるようであれば言いましょう、もっと軽くお願いしますと。言えないこともあるでしょう。その場合はその人とのスパーリングは避けましょう。あるいはグラップリングだけのスパーリングにしてもらう。まちがっても打ちかえしてわからせようとはしないでください。負の連鎖です。あなたのジムのスパーリングから負傷者がいなくなりません。
中には悪意を持って痛いダメージのある攻撃をしてくる人もいるでしょう。実力差も開きがあるのに、初心者狩りをしてくるような人です。そういう人はスパーリング相手にしないことです。断りましょう。しつこくてどうしてもその人とスパーリングをしなければならない、それが辛くて練習ができないというジムも存在するかもしれません。その時はジムを変えてもいいかもしれません。そのジムで練習することと、格闘技を練習すること、どちらが大事でしょうか。続けられる選択肢は一つではありません。

かくいう筆者も大小さまざまなケガをしました。
入会して一か月たたずにアバラにヒビが入りました。人生初の骨折でした。加害者は会員。しかも中学生。空手のバックボーンがあって、中学生ながらするどい打撃ができる子でした。彼の放った回し蹴りがアバラに突き刺さり、レントゲンにはっきりとヒビが映りました。約一か月、寝起きも痛い、トイレも痛い、治療法もなく耐えるしかない日々を過ごしました。
もちろん心が折れかけました。才能ないなあとおもいましたし、格闘技をやるには貧弱なんじゃないか、やはり年齢的にきついのではないか、いろいろマイナス思考が頭をよぎりました。けれど、まだはじめたばかり。このケガは事故。こんなところで辞めたらなにも残らない。もう買ってしまった使い道のない用具だけが残る。ここは耐えると念じながら復帰しました。
その後、二か月ほどして首が痛むようになり、かかりつけの整形外科にMRI診断を勧められました。人生初のMRI。結果的にはヘルニアなど大事にいたる症状は発見されませんでしたが、首のケガは大事にいたると後遺症を残しかねない、さらに仕事で一か月通えないことが確定していた時期だったので、入会して三か月ほどで休会することにしました。体外衝撃波なる不快なリハビリを受けていましたが、良くなる気配はなく。格闘技を休む代わりに筋トレをしていたので、そこそこ首も力むので安静にしていたわけではありませんでした。復帰したのは仕事のキリがよかったタイミングで、まだ首の痛みは残っていました。痛いなとおもいながら通い続けて、そのうち痛みは消えました。その後も突き指したり、腰を痛めたり……それでもなんとか続けながら克服したり、だましながら負傷と付きあってやっています。

ケガは慣れる

骨折のようなどうしようもないケガもありますが、突き指などはやっているうちに慣れます。突き指をくりかえすと鍛えられるのかどうかはわかりませんが、突き指の原因は技術的な理由もあります。相手のパンチをさばこうとして突き指する、ということをくりかえしていたのですが、突き指をしないさばきかたが存在します。それをおぼえると当然突き指の事故は減ります。蹴りをはなてば自分の足が痛くなりました。これもやはり蹴り方が悪いから自爆するのです。正しい蹴り方を学べば痛める頻度は減ります。
どうしようもないケガ以外は克服する、あるいは慣れるしかありません。あなたに才能がないからケガをするわけではありません。みんなケガや痛みに慣れながらうまくなっていっているはずです。あるいはあなたに人より才能がないために痛めやすかったとしても、努力で乗り越えられるはずです。それが継続です。

いい病院を見つける

そうはいってもケガはしますし、痛いです。となると病院にかかる機会も増えるでしょう。ケガするために高い金を払って時間を消費していると自嘲することがありますが、いい病院を見つけることも格闘技を続ける秘訣だとおもいます。
いい病院の条件は人それぞれかとおもいます。筆者にとっての一番は、待ち時間が短いこと。共感してくれる人も多いのではないかとおもうのですが、筆者の病院の一番のストレスは待ち時間が長いことです。何時間と待たされて、診察は五分とたたず終わる。それで湿布と痛み止めの飲み薬が出るだけ。一週間たったら経過を見せに来いといわれてまた行けばやっぱり数時間待って、まだちょっと痛いですと言ったところで追加で薬が出るくらいで、また一週間たったら経過を見せに来い、このくりかえし。こんなのよくなってきたら行かなくなります。そしてまた痛めたら病院に行き、この不毛な時間浪費をくりかえします。病院も法律があったりの事情で、悪意があって待ち時間をやたら長くしているわけでもないし、集会所にしてます?とおもってしまうような老人たちも、痛いところがあるから通院しているのです。文句はいえません。どこの病院でもおなじ対応なら、すこしでも待ち時間が少ない病院を探す。これに尽きると考えています。
そして、やはり病院によって対応はちがうのです。筆者はTFCC損傷を患ってしまっており、かなりの頻度で整形外科に通ってリハビリをおこなっています。いまのかかりつけの病院に通う前のところでは、前述のとおり人生を無駄にする虚無の時間浪費をくりかえして、薬をもらうかあまりに痛みがひどいとステロイド注射を打つという治療をしていました。医者からは、いずれ体がもたずに壊れますよとあきれられていました。このTFCC損傷という傷害は、筆者にとって格闘技を続ける凶悪な障害になっていました。
ある日、痛みに耐えきれずステロイド注射をしたい、けれどかかりつけだった病院が休業日だっため、近所のべつの病院に行きました。痛み止め注射を打ってほしいと言ったのですが、医者は自分は注射はしない主義だと断られました。それで電気とレーザーのリハビリを施されました。過去にも電気治療を受けたことがあって、まったく効き目がなかったこともあり、自分の望み通りの治療をしない医者の態度に二度とこないとおもっていたのですが、翌日になると具合がよくなっていたのです。あれ効くのか!しかも病院は待ち時間が非常に短く、受付次第順番がきてすぐにリハビリが終わる日も多く、いまではかかりつけの病院になっています。
格闘技に限らず、スポーツを続けるためにいい治療院があることが重要なのではないかとつねづねおもっています。みなさんもケガにめげず、いい病院が見つけられることを祈っています。

とはいえケガはしないに越したことがない

格闘技をやっていると、大なり小なりケガはしようがない、という言葉に出くわすことが多いのではないかとおもいます。みんなどこかしらに不具合を抱えながらダマしダマしやっているんだ。それが美徳のように語られることに筆者は強い抵抗感があります。
ケガは防げないという前提でやっていたら、ケガにいたる事故が起きるに決まっているじゃないですか。こちらはそんな覚悟ではやっていないんです。試合に出ると決意したとしても、ケガを厭わない練習なんてしたくないんです。試合に勝つために練習はしますが、リングに立っているときはどこかしらケガしてる、なんていうことがふつうだなんて、おかしくないですか。
そういう信念を持ってやってるひとは、もう好きにしてくれという感じですが、巻きこまないでくれといいたい。格闘技に人生を賭けているわけではない中年愛好家なんです。ケガしないと辿りつけない領域までいけなくていいです。ケガせずに長く続けられる強さを手に入れたいんです。そのためにはがんばって努力します。
筆者も骨折してしまいましたが、骨折って野生動物なら死に至る致命傷なんですよ。家畜の馬だって骨折したら予後不良で死んでしまうわけです。ニュースでいう「重傷」の定義って、「命に別状はないが深い傷や重いケガをした場合で、全治30日以上要するものを指す」そうです。骨折って、どんなに軽微でも完全に快復するまで一か月はかかるじゃないですか。れっきとした重症なんですよ。骨折するような練習環境って、絶対に異常だと筆者は考えています。
なのでまずは自衛してケガを予防しましょう。とくにスパーリングするときは集中してケガのないように体を動かせるように意識したいです。疲労困憊で足グネるようなほどヘトヘトならスパーリングを一回休むべきです。やっぱりケガさせてくるような相手とのスパーリングは避けるべきだとおもいます。
ケガってまちがいなく挫折に繋がる強力な引き金になるとおもいます。中年は安全第一、無事故をめざして日々の練習に励みましょう。ジム側にもそう考えてほしいところです。