MANULのブログ

総合格闘技の生涯スポーツ化を考えるブログ

総合格闘技のジムの選び方

総合格闘技をはじめるのにもっとも重要で敷居の高いポイント、ジム選び。
といっても、筆者もジムのことは自分が通っているジムしかほぼわかりません。というのも、ジムを決めるのに、見学さえいまのジムしかしなかったからです。
なのであまりえらそうなこともいえないのですが、一つの参考例として読んでいただければ幸いです。

ジムに求める一番のことは?

みなさんはジムになにを一番求めますか?
あれこれ思い浮かぶかもしれません。通いやすさ。たとえば立地。自宅から通いやすいか。あるいは仕事帰りに通おうとおもうなら、職場に近いか、あるいは自宅からも職場からも通いやすい中間地点、乗換駅にあるなど。
たとえば指導者。憧れの選手が指導しているジム、応援している選手が所属しているジム、有名選手のジムにいるんだというのは自慢できるかもしれません。
料金。およそ月会費1万円前後が相場かとおもいます。プライベートレッスンをしてくれるようなところだと価格が跳ねあがって、料金体系も一回あたりの金額になったりします。中には、通常のクラスに加えて、プライベートレッスンを受けられるジムもあります。
スケジュール。ジムの開館時間、各クラスのスケジュールが自分の生活スタイルと照らしあわせて参加しやすいかどうか。大人向けのクラスは夜の時間帯におこなわれることが多いかとおもいます。キッズクラスが午後や、夕方の早めに設定されることが多いとおもいます。土日は午前中に大人向けのクラスがあるパターンもあります。総合格闘技のジムであれば、MMAのクラス、キックボクシングのクラス、柔術のクラスと三セットで用意されていることが多いかとおもいます。さらにプラスアルファでグラップリングのクラス、フィットネスのクラス、フィジカルトレーニングのクラスなどあるところもあります。クラスがやっていない間はフリーマットということで、好きにサンドバッグを打ったり、会員同士でスケジュールをあわせて練習したり、筋トレをしたりできるジムもあります。
設備。まずは単純にジムの広さ。狭いジムだと参加者が多いとスパーリングをしていても窮屈になるかもしれません。リングの有無、サンドバッグの台数など、グローブやレガースなどを貸出ししているか、自分で用意しなければいけないか、貸出している場合は費用の有無なども選ぶ要素になるかとおもいます。

一番の選択材料って……

いろいろジムを選ぶ要素についてあげてみましたが、一番重要なのは立地ではないかとおもいます。
自宅からいかに近いか、通いやすいか。これに尽きるのではないでしょうか。
筆者がジムを決めた一番の理由はこれです。自宅から一番近かったのです。そして駐車場が用意されていたこと、車で行かない場合もバイクを置けること、駅からも歩いて行ける距離であること、が決め手となりました。
二番目にスケジュールです。二番目に近かったジムは、クラスの開始が19時30分から。選んだジムは20時からの開始です。二番目に近かったジムは24時間営業で、クラスのない時間はフリーマット開放する、フィジカルトレーニングを自由にしてもいいし、クラスもMMA、キックボクシング、柔術に加えていろいろ用意されているなど手厚い印象がありましたが、筆者はMMAを中心に柔術もやりたいという思いがはっきりしていたので、仕事で残業があっても、すこしでも開始時間が遅ければ、その分しっかりと練習ができると考えました。スケジュールも立地とあわせておなじくらいの決め手でした。
三番目がジムの雰囲気です。これは見学・体験だけでどこまで見極められるかなんともいえませんが、ご自身がジムに求める雰囲気というものはあるとおもいます。筆者でいうと、いまさらプロを目指そうという気持ちもなかったので、スパルタではなく初心者に優しいところがいいなとおもいました。筆者のところは、小学生も中学生も大人のMMAクラスに出て、その親御さんも一緒に参加。受身もろくにできなくても置いていかれない。といって受身ができるようになるまで他の練習はさせないなんてことはなく、おいおい覚えていきましょう、とクラスの内容をこなしていく流れで、他の参加者に迷惑をかけているという思いはさせない雰囲気でした。プロの選手も一名しかおらず、コーチ陣もプロで大活躍していたというわけでもなく、厳しいジムではありませんでした。いまだにプロ練のクラスもなく、クラスとスパーリングを通して強くなっていこう、というジムです。スパーリングはクラスが終わった後に一時間あるのですが、最初の体験からスパーリングに参加してかまわないといわれました。スパーリングってクラスの参加回数のノルマを経たり、トレーナーに認められてはじめて参加できるものじゃないの? とおもっていたのでめんくらったのですが、やってもいいというなら体験してみようとやってみて、トレーナー以外の会員にも接待スパーリングをしてもらって、ここならやれるかもしれないとおもったのでした。

ジムのネームバリューや指導者の質といった要素

もしもいまからでもプロになりたい、世界チャンピオンをめざすんだ、最強にオレはなる! という考えだったら、筆者が選ぶ材料にはならなかった、ジムが有名か、指導者が有名か、といった要素も重要かもしれません。大きな格闘技団体とつながりのあるジムや指導者といった要素もあるかとおもいます。ただ、ボクシングなどとちがって、総合格闘技RIZINなどを除けば修斗パンクラスなど老舗の日本を代表する格闘技団体にも、アマチュアであれば簡単に出場することはできます。そこで結果を残せればプロになることもできます。ボクシングのように各ジムの政治力で試合を組めるかどうかといった環境にはないのではないかと考えています。金原正徳選手も自身のYouTubeでジム選びについて、近所の通いやすいところなどから選ぶべきで、マッチメイクうんぬんはひとまず考える必要がないだろうといっていました。ただ、中にはジムが団体と仲がいいというより、絶縁状態で出禁になっているケースがあるといっていました。それも、どうしてもその団体に出たいんだということがなければ、後からジムの移籍を考えるなど、、最初に考えることではないだろうと言っていて、筆者もこの意見に賛成します。
筆者のジムの指導者はMMAのプロだった経歴がありません。プロ選手が一人だけ所属しています。一生勝てないとおもうほど強いです。もちろん、彼より強いプロ選手は多くいますが、ケンカ自慢みたいな人が彼と勝負をしても、絶対勝てないとおもわせる実力があります。彼は身長が170cmほどで、階級もバンタム級(61.2kg)を主戦場にしていて、軽量級ファイターといっていいでしょう。でも、身長180cmを超える、格闘技以外であれば、ラグビーなどのスポーツをやっていましたといった相手でも倒せるとおもいます。彼はもともと柔道の経験があったそうですが、中学生のときからジムに通いはじめた、ジムが育てあげたMMAファイターです。これから先いくら練習しても彼より強くなることはないなとはおもいますが、有名ジムでなくても彼くらい強くなれることを教われるんだとおもいます。負け惜しみでなく、彼ほど強くなりたいとまで望んでいるわけでもなかったりします。イキのいい若者が体験にきたのを、軽く遊べるくらいにうまくなれたらかっこいいですが、ジムメイトと切磋琢磨しながら一本とったりとられたりの攻防ができるようになれば練習も楽しくなるはずです。なにより、筆者自身が試合に出場し、初心者向けだったとはいえ二十歳前後の空手かなにかのバックボーンがあるらしい対戦相手に、一本はとれませんでしたが判定で完勝といってもいい闘いができたことから、このジムで教わっていることはまちがいではないんだと信じることができました。ちなみに対戦相手のジムは某有名選手が代表のジムで、講師陣も現役プロ、元プロが指導といわば「高品質」指導を謳ったものでした。しかしながら、基本的な練習内容には大きなちがいはないのではないかとおもっています。漫画とちがって、ものすごい突飛な特訓をして気づいたらすごい必殺技を持っていました、みたいなことは現実にはなかなかないとおもいます。教える側が超一流の技をもっていたとしても、それをいきなり初心者が使いこなすことはできないでしょう。最初にやることはコツコツとエビからはじまるのは変わらないのだとおもいます。筆者のジムの指導者は丁寧に教えてくれるし、威圧的なこともなく、スパルタでもありません。筆者からすると指導者たちはとんでもなく強いので、彼らくらいにまで強くなれたら十分というか、彼らくらいに強くなれる気がしません。じゃあやる気がなくなるかというわけでもなく、中年MMA愛好家はそんなに高望みしていないのです。でもピチピチの若者と試合をして勝てるわけですから。やりがいはあります。

ジムの雰囲気、ジムメイト

前の文章で指導者の質はべつに高くないかのように読めてしまうかもしれませんが、そんなことはないとおもいます。とくに柔術ですが、近隣のジムを辞めて流れてくる会員が少なくありません。柔術講師は別のジムでも講師をしているのですが、そこの会員が流れてきたり、ほかのジムのクラスの状況が芳しくなくて流れてきたり……。筆者はほかのジム事情に疎いのですが、筆者のジムの柔術は評判が高いようです。
筆者のジムでは柔術が活気があふれています。筆者より年上の中年柔術家たちが、日夜練習に励んでいます。SNSでも柔術界隈の盛り上がりを目にすることが多いですが、柔術愛好家の柔術愛は激しいものがあると感じます。やる人は毎日練習しています。筆者はMMAだけでなく、柔術も週に2~3のペースで参加しています。柔術自体好きですし、柔術の技がMMAでも役に立つ必須課目だと考えています。
筆者のジムはとくに柔術の会員の参加人数が多く、熱意が強く、仲が良くて結束力が高いです。一緒に切磋琢磨して強くなっていこうという好循環が生まれています。
必ずしも会員同士で仲良くしたいわけじゃない、馴れあいたいわけじゃない、とおもう人もいるかもしれませんが、格闘技の練習は一人ではできません。それこそプライベートレッスンでも受けるなら話はべつですが、相手がいないと攻撃も防御も学べません。コンタクトスポーツの極みといえる格闘技です。仲が悪いより、仲がいいほうが楽しく練習できるのは自然なことです。
筆者のジムのMMAクラスには、筆者の一個年上で、三十歳からMMAをはじめた会員がいて、この人の存在は筆者にとって非常にありがたいものです。背丈もおなじくらいで、階級もおなじです。年齢も同世代で筆者よりずっとうまい先輩格闘愛好家。しかしながら、このまま続けていけばいつかは手が届くのではないかとおもわせる差なのです。侮っているというわけではなく、おなじく中年ではじめて、コツコツ練習していけばここまで強くなれるし、まったく歯が立たないわけでもない、タイミングばっちりなタックルが入ることもある、という身近なベンチマークなのです。筆者がジムを続けていけているのも、そのジムメイトのおかげがあるとおもいます。ジム内の陰湿ないじめだとか人間関係だとかに巻きこまれていないですし、目に見えてひどいのを感じることもなく、居心地よく通えています。
これがもしジムメイトが世界最強を目指す、手かげん知らずのファイターばかりだったら続けられていなかったでしょう。あるいは初心者狩りを楽しむような会員だったり、やたら上下関係を押しつけてきたり、体力がありあまる若い会員ばかりで、それを前提にした練習内容だったりしたら、続かなかったかもしれません。
筆者は年上は常識的に敬いますし、先輩会員にも敬意を払いますし、強い会員も素直に尊敬します。だからといって、年下や新参会員にマウントをとるようなこともしません。親戚でもないし、会社でもないですからね。おなじ会費を払って、おなじ会員権を持つ同等の相手です。人間的な好き嫌いはあったにせよ、ジムメイトとして敬意を持ち、わきまえたふるまいができなければ、会員、格闘技は続けられないのではないでしょうか。それを感じさせない人物が幅を利かせているようなジムで、あなたがそれに耐えられないのであれば、そこはあなたの居場所ではないのだとおもいます。ジムはそこだけではないでしょう。立地的に近所にジムが少ない人は気の毒ですが、あるジムが嫌だから格闘技を辞めてしまうというのはもったいないとおもいます。

けっきょく近所のジムに通うのが妥当

ジムの選び方についていろいろと書いてきましたが、入ってみないと本当に自分にあうかどうかはわからない、という身もふたもない結論になってしまうかもしれません。
筆者自身もそうですが、自分のジムしか知らないのは視野が狭いかもしれません。自分にとって最良のジムが世の中にはもっと他にあるかもしれませんが、なんというか足るを知るです。講師陣に教えを乞うのが嫌でなく、ありがたく、一緒に切磋琢磨したいとおもえる仲間がいる。
あっちのジムのほうがいいんじゃないか、と目移りしてしまうかもしれませんが、おそらくジムを渡り歩いて、通えるジムがなくなってしまうより、一つのジムの教えを信じて継続できる人のほうが強くなるのではないかとおもいます。
通いたいジムがあるからといって引越しするわけにもいきませんからね。片道一時間かけて憧れのジムに通うなんて生活、まず継続できません。けっきょく、近所のジムに通うのが現実的な妥協点なのです。
不安は尽きないとおもいますが、まずはジムの見学なり体験に飛びこんでみてください! そしてよろしければ会員になって通ってみてください! コツコツ継続できれば、きっと強くなれます!!